7/26(日)に行われた、無観客オンラインライブ『配信デビュー! 初! ファンが選ぶ森高ソング ベスト10 !! ~森高千里歌唱にてドキドキの発表!~』オフィシャル・レポートをお届けします。
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今回の森高の配信ライブは、ファンとの絆を大切にする彼女ならではの内容だった。投票によりベスト10ソングを決定し、発表とともに歌うというのは、彼女自身もMCで述べたように、“ベタな企画”といえばそうだが、こんな正攻法が、素直に似合ってしまうのも森高なのだった。
ライブ会場は東京・丸の内の「コットン・クラブ」である。照明が落とされた客席のテ-ブルには、ランプが置かれている。ジャズ・クラブの日常の光景でもあるが、この日は無観客。その灯りには、ライブの再開を願うファンの気持ちが宿るかのようだった。
フラッシュ・ライトのなかのオ-プニングは鮮烈だった。やがて静止していた森高が動き出し、この日の趣旨説明。さっそく10位の発表へ。これがデビュ-曲「NEW SEASON」だった。順当かもしれない。というのも、記念すべき曲が忘れられているのは寂しいし、かといって、最上位であるならその後の成長が望めなかったみたいでこれまた寂しい。歌い始めると、映像にはエフェクト処理が施され、“デジタルの紙吹雪”が舞った。配信ライブだからこそ許される表現領域への果敢なチャレンジが、早くも冒頭から見られた。
9位の「二人は恋人」は、ジワジワ好きになる人が多い曲。なお、彼女は自ら順位予想しつつ、適宜、寸評を加えつつ進めていく。8位は早くも「私の夏」だ。もっと上位を予想したが、この歌のテ-マは旅であり、この順位は気楽な旅行もままならない2020年の世相を反映したものとも解釈できるだろう。
7位の「気分爽快」と6位の「コンサ-トの夜」に関しては、今年、彼女のツア-が延期となり、“観たかったな-”“盛り上がりたかった!”という想いの反映でもありそうだ。「気分爽快」では、客席へ降りて歌いかける彼女の姿があった。その瞳のなかには、そこに居るはずのファンの姿が、しっかり映っていたはずだ。
5位の「17才」では、この日の衣装(本来なら今年のツア-でお披露目したもの)に、この曲の必需品たるフリフリのスカ-トを加えてのパフォ-マンスとなる。それがシックな色調であり、今回の配信ライブの「17才」は、大人っぽい印象であった。遺伝子の螺旋のような両脇の画像処理も曲にピッタリだ。
このあと、4位と3位にはバラ-ドが並んだ。「雨」と「渡良瀬橋」である。セットリストを組む際、静かな曲をまとめるというのはよくやることだが、投票結果がそのように“気を回してくれた”かのようで興味深かった。彼女はこの2曲を、言葉のひとつも疎かにせず、歌っていた。2位は彼女の代名詞ともいえる「私がオバさんになっても」。今回は無観客ゆえ、観客とのエネルギ-交換による一体感こそないものの、すっかりその表情は、ライブ・モ-ドそのものだ。
この時点で、1位が「この街」であることは多くの人達の知るところとなる。いつからか、“これをやらなきゃ彼女のライブは終われない”という雰囲気もあるし、この日の最後の歌唱にぴったりだった。森高は、自らのロ-カルに徹して“この街”への愛着を本作に描いた。でもだからこそ、我々も自分にとってのそれを想起しやすいと言える。“みなさんにも故郷はありますよね”とか、表面的に歌われてもこうはならない。そして、生まれ故郷を想う気持ちが人から無くならない限り、この歌への熱い支持は続くのだ。
最後のほうのMCで、今回の投票結果も参考にしつつ、来年のツア-に活かしたいと話していた。次はぜひ、いや絶対、客席から森高ライブを満喫したいものだ。
エンドロ-ルで「むかしの人は…」とともに投票してくれた人達の名前が流された。「むかしの人は…」でふと思ったが、彼女には票が集中する曲がある一方、少数意見に対応する個性的な曲も豊富に存在する。今回の順位は当然でありつつ意外でもあったが、この10曲の外側にも、深淵なる森高ワ-ルドは広がっているということなのだ。
text・小貫信昭
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